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吟遊詩人に贈る歌(著:佐々之青々)
▼感想
青々さんの第二作目でございます。
現代落ちものラブコメだった前作と打って変わって、ド直球の異世界ファンタジーです。
ボーイミーツガールも好きだけど、一度は擦れ違った幼なじみが再び出逢うお話もなかなかに美味しくっていいですよねぇ。
異世界ファンタジーとはいっても、魔法の類はほとんど出てきませんし(幽霊と主人公の演奏に合わせて踊る魔法人形くらい)、とても読みやすく感じました。
緻密な設定に基づいたど迫力魔法バトル、なんてのも好きなんですけど、この物語の雰囲気には合いませんし。
それより何より、幼なじみ同士のじれじれした関係こそが、この物語の楽しみどころだと思いますし!
お約束っちゃお約束なんですけど、第三者が見たら丸わかりの二人なんですけど、純粋に相手のために行動していたり、妙なところで鈍感だったり、まあ見せつけてくれますことくれますこと。
ワンピースを着るなんて珍しいとテアに言われて誤魔化すトルチとか可愛いなぁ。
トルチが劇団の日雇い団員でい続けたのも、芸を身につけてレントの願いを叶えるためですよね、きっと。
くぅぅー。何ていい子なの! レントにはもったいない!
何だか前作「ライトノベルの神様」の感想でも、ヒロインに対して似たようなことを叫んでいた気がしますが、青々さんの描くヒロインが軒並み可愛いので仕方ありません。
なんて言いながら。
一番良かったなぁ、と思ったのは、物語の核となっている悲恋の言い伝えなんですけどね。
物語にばらまかれている“腑に落ちない”ことが、最終盤で綺麗につながって、しかもそれが主人公の強さにつながる。
だから、読み終えた瞬間のほっこり感もハンパない。
ココも青々さん作品の魅力の一つですよね!
欠点を上げるとしたら、全体的に雰囲気がゆるいところでしょうか。
どんなライバルが立ち塞がろうと、主人公二人が相思相愛なのは見え見えなので、危機感――ハラハラ感が薄いのがちょっと残念。
登場人物たちもみんなゆるいですし。
歴史小説好きとしては、せっかく警吏隊だの街の有力者一族だの登場するんですから、もうちょっと格式張った雰囲気がほしかったなあ、という欲張りな希望を言わせてもらいたい。
そういう格式や伝統がのぞける要素がその世界の中の歴史を感じさせ、リアリティにつながると思うので。
とはいえ、久々に異世界ファンタジーに、大満足したのは紛れもない事実。
異世界ファンタジーでラノベにハマった身としては、やっぱり異世界ファンタジーにときめかざるを得ないのです。
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▼あらすじ
「世界で一番の吟遊詩人になって、必ず戻ってくる」
十二歳のレントは、幼なじみのトルチにそう約束して街を出た。
五年後、トルチに告げる言葉を胸に帰ってきたレントはしかし、再会する前に幽霊騒ぎに巻き込まれ、女警吏のテアに騒乱罪で捕らえられてしまう。
テアに幽霊退治を押しつけられたレントは取調室でやっとトルチと再会するも、告げる言葉を言えずにいるうちに今度はトルチを想う青年デリックから決闘を申し込まれ――
悲劇の吟遊詩人と悲恋の騎士を生んだ街ルネスで、若き吟遊詩人と魔法人形が奏でるピュアファンタジー、開演!
(2012年16冊目)
皇妃エリザベート(著:藤本ひとみ)
▼感想
何を隠そう、シシィが苦手なのである。
ハプスブルク家は決まりごとが多くて大変だし、旦那はマザコンだし、姑は厳しいし、辛かったのはわかる。
わかるんだけど!!
国家の一大事だというのに、旅の空とか。
ちょいと無責任じゃありません?
国民はもっと辛いんだよ!
……みたいな。
どの本もシシィについては同じような書かれ方をしているし、その固定観念たるや、岩のごとし。
それを藤本さんが描くとどうなるのか。
でも、若いころのシシィはやっぱりいつも通り。
愛だの自由だのと声高に叫びながら、その根っこには自分を可愛がってほしいという欲求が見え隠れしているワガママ娘。
シシィに立ちはだかる最大の敵、姑のゾフィの方がよほど感情移入できますもん。
しかも、ゾフィがまた不憫でねぇ。
多少行き過ぎな部分はあったとはいえ、彼女なりに頑張ってやってきたのに、嫁はわがままぷーだし、最愛の息子たちは仲が悪い。
その上、ある時、不仲の原因が自分の教育方針にあったと気づいちゃうんだもん。
今際の際に、あれだけ嫌ったシシィに縋るような思いで言葉をかけたのに、意識が途切れる間際に聞こえたのは、シシィの「え、聞こえないわ」の声だなんて。
かわいそう、という一言に尽きます。
なので、今回も反シシィ派のまま読み終わることになるのかな、と懸念していたら、いやはや。
さすが藤本さん。
文庫だと約470ページの物語なのですが、ラスト30ページがすごかった!
抗い続けた結果、自分の老いを、認識の甘さを、現実を自覚し、打ちのめされたシシィに訪れるささやかな救い。
いやまあ、それでも息子ルドルフは自殺しちゃうし、報われはしないんだけど。
ただ、本当に大切なものに気づいて、でもそれは永遠に続くものではないと知ったシシィが、ようやく夫フランツ・ヨーゼフを心から許せたシーンが切ないけれども、心がほっとほころびました。
以前テレビで、シシィのことを現地の方が「自分の手で道を切り開いていった素晴らしい女性よ」と言っているのを見て、えーそうかなぁ、と首をひねったものですが、この本を読んで、そういう見方もできるかもしれない程度には思えるようになりました。
あの時代、シシィのように自由に、思うままに、自分の意思を貫く強い精神力を持っていた女性は少なかったろう、と。
あと、バイエルン王ルートヴィヒ2世の謎の死に、シシィが直接絡んでいたという設定にはニヤリ。
史実に添いながらも、ある程度であれば自由に面白おかしく組み替えて“正史”を作れるのが、歴史小説の醍醐味ですよね!
ちなみに、ルートヴィヒ2世とは、かの有名なノイシュヴァンシュタイン建てた方で、精神を病んだ末、湖で水死体となって発見されたのですが、その死の真相は未だ謎という。
ロマン、ですなぁ……(しみじみ
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▼あらすじ
「バイエルンの薔薇」と呼ばれ、ハプスブルク家六百有余年の歴史上最も美しいといわれた皇妃エリザベート。
激動の時代、彼女は嫉妬と羨望のなか、皇室の因習に抗い自由奔放に生きた。
没後百年を経てもオーストリアの人々の心を捉えてはなさない“シシィ”エリザベートの波瀾万丈の人生をいきいきと描いた決定版!
(2012年15冊目)
365 Days of Danboard(写真:アリエル・ナデル)
▼感想
「よつばと」でえなとみうらが自由研究で作った段ボールのダンボー。
そのフィギュアを使った写真集です。
ふ……、ふはぁぁぁぁぁッ!
何て!
何てかわいいんだ!!
表情は無表情だし、色だって茶色だし、シンプルなボディラインなのに――というか、そもそも単なるフィギュアに過ぎないのに!
かわいい、そして、切ない!
ダンボーがそこで生きているみたいで、ページをめくる度に心がほっこり。
悲しいわけでないのに、涙腺がゆるみます。
ひとりぼっちだったダンボーが家族を得て、でも変わらず懸命に生きていく。
うー、何だろうな、この切なさ。
動物の写真も好きなのですが、ダンボーの場合、純粋さに加えて“知性”がある(ような気がする)からこそ、切なさなんだよなあ。
無表情なんだけど、最初、ひとりぼっちだった時より、最後の家族ができてからの方がうれしそうに見えたりしてね。
喜怒哀楽がちゃんとあって、でも言葉に出してはっきり伝えることはできなくて。
けれども、そのことを不幸だと思わず、ただただ生きる。
この辺りに自分の“ゆるきゃら”好きの根元がありそうな感じがします。
しゃべれないんだけど、人間の話す言葉を理解して、ご主人様のために動き回る小動物系こそ至上!!
ちっちゃいダンボーに猫について教えるダンボーの写真、3人で1つの葉っぱの下で雨宿りをする写真、美容パックに勤しむ写真あたりがキュンキュンします。
でも、前半、遊びに遊んだ後、鏡に映る自分を見て、孤独に気づくダンボーの写真もドラマティック好きかな。
家族ができてよかったね!
(2012年14冊目)
ハプスブルク家の光芒(著:菊地良生)
▼感想
ハプスブルク家と彼らを中心に催されたイベントごとにまつわる12のエッセイ。
著者は、(自分的に)おなじみの菊池先生。
ただ、本人もあとがきでおっしゃっていますが、もとは1997年に出版された本を文庫化したものなので、文章が硬いというか、若いというか。気合い入りまくりというか。
つまり、まあ、あれです。何だか、読みづらかったなあ、と(ぁ
ハプスブルク家の歴史の転換点には、必ず祝祭めいた、儀式めいた催しがあり、そこにこそ世相が表れていた――という趣旨のエッセイ集なのですが、いくつかを除いてどうにもこじつけ感が否めず。
ゲーテが目にしたヨーゼフ二世の戴冠式、ウィーン会議、フランツ・ヨーゼフ皇帝陛下御在位六十周年慶祝パレードは確かに祝祭といえると思いますが、エリザベードの放浪の旅は儀式の様相を見せ始めただの、メキシコ皇帝マクシミリアン一世は自身の処刑を儀式として演出しただの……と言われても、ねえ。
みたいな。
そんな恣意的な雰囲気さえ除けば、なかなか楽しい1冊。
歴史の流れを中心に扱った本も知的欲求を満たすためには良いのですが、読んでいて楽しいと思えるのはこういう一個人にフォーカスが当たった本なんですよね。
マリア・テレジアが娘によって態度を変えるところはやっぱひどいなぁ、と思いながら、娘ではなく息子が生まれていたら、息子を王にして自分は王になる必要はなかったし、各国からオーストリア継承戦争を仕掛けられることはなかったのではないか、と思うと、無暗に非難できるものではないなー、とか。
ハプスブルクといえば金欠、というイメージがつきまとうのですが、パレードや催しの具体的な規模や内容まで載っているので、「あー腐っても皇帝なんだなあ」と思ったりとか(失礼
ハプスブルクが崖っぷちに立たされていたフランフ・ヨーゼフ帝の時代に(それも晩年に)、全長12キロメートル、1万2000人が参加するパレードを行うなんて、私、現代っ子だからちょーっと理解できないや。
まあ、ハプスブルク家主催のイベントじゃなかったとはいえ。
帝国の暦では1年のうち150日以上が祝祭日だったそうです。
うっすらお勉強した今となっては、ハプスブルク家=栄光の歴史というより、危機の連続という印象の方が強いわけですが、そんな中だからこそ、大規模な祝祭が必要だったのだとこの本を読んで思いました。
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▼あらすじ
オーストリアの一地方豪族から、ヨーロッパのみならず新大陸までを影響下におく大帝国を築き上げたハプスブルク家。
絶頂の極みにあって、光輝くほどの影もまた深くなる。
帝国のそこかしこには衰退の兆しが見え隠れし、やがてはそれに呑み込まれることとなった。
王権を可視化する装置としての祝祭空間につかの間の栄光を幻視し、歴史の転換点で繰り広げられた人間ドラマを、愛情をこめて描き出す歴史エッセイ。
解説 管啓次郎
(2012年13冊目)
ITILの基礎 ITIL V3 ファンデーション試験対応(著:官野厚)
▼感想 …もとい、受験体験記
ひっさびさに資格取ってきました!
その名も「ITIL V3 ファンデーション」。
ITILというのは、イギリスより公表されたITマネジメントのベストプラスティスをまとめた書籍群のこと。
要はITシステムをしっかり作って、保守、改善していくために有効な組織体制、運用ルールについての試験――でござる。
全40問中26問正解で合格の択一式テストなので、そう難しい資格じゃありません。
それでも一切勉強せずに受かるものではないわけで。
だがしかし。
勉強にお金なんぞかけたくない!
だってこの手の書籍って妙に高いんだもん!
とか思っていたら、会社の先輩が本を持っていえるといるので、それをお借りして一通りお勉強。
だがしかし(2度目)。
そろそろ試験申し込みすっか、と思ったところで、重大な事実が発覚。
実はこの試験、V3……つまり、Version3なんです。
だがしかし(3度目)、先輩から借りた本は――
V2。
Σ(゚(0 0)゚;) o0(1年以上前に廃止されてんじゃん!!)
で、しょうがなく自費で購入したのがこの本です。
出題範囲は結構被っているのですが、考え方の根底が変わってるんですよね。V2とV3で。
間違いに気づいてからネットで受検体験記を探すと、V3が導入された当初に間違ってV2の勉強してた、というお話は結構あったんですが、まさか2012年にもなって、このテの間違いを犯すとは……。
自分、こういうお勉強って「体系的に」「全体像を」掴んでいかないとなかなか覚えられない人間でして。
この本は、文章が多め――分野ごとに、なぜそうなるのか、どう考えるべきものなのか、という“理由”が掴みやすかったです。
フローチャートとか図で示されると、見やすく理解しやすいのですが、何となく記憶に残らない気がして、こういう“ストーリーがある”本の方が自分には合っていました。
あと、模擬試験が載った書籍の中で一番本物に近い気がしたのもこの本。
重要用語が2ページにまとまっているのもいい感じです。
試験会場に向かう電車の中での最終確認に利用させていただきました。
ただし。
文章が多いゆえに、説明にスペースが取られ、取り上げる用語の全体数が少ない気が。
ところどころ、V2の知識があることが前提になっている部分もあったり。
細部について少々足りない感じ?
まあ、この辺りはネット十分補完できたのですが、この本1冊で合格確実かと聞かれると……。
用語だけであれば、下記の翔泳社の参考書が網羅してくれてると思うんですが、ただこのシリーズの模擬試験って簡単すぎるんですよねぇ。伝統的に。
その上、本物の試験ってもともと英語だったものを日本語に訳した(だけの)ものなので、問題文や問われるポイントにはひと癖もふた癖もあるのもお約束。
自分はこの本の模擬試験だけでは合格できないと思います。
なので、選んだ本は間違っていなかった、ハズ!
無事合格できましたしね!
とはいえ、上の黄色教科書も含めて様々な本が出ていますので、実際に手に取ってぺらぺらめくってみて、自分に合った本を選ぶのが一番だと思います。
以下、このほかお世話になったサイトをご紹介。
◆BMCソフトウェア ITILコラム
BMCソフトウェアさまのホームページ内の記事。
サービスデザインとトランジションのみの説明ですが、しっかり深くまでまとまっていて勉強になります。
◆無料deITIL V3 Foundation模擬試験150問
dentakurouさまの個人ページ。
無料の模擬試験。全150問の中から本番と同じ問題数をランダムに出題してくれます。
本物よりやや平易な問題なので、ここで合格できないと合格はキツいかと。
(2012年12冊目)






















